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別に日曜大工が趣味というわけではなく、
たまたま触発されてやったことに関する作業メモ。
最近はほとんど触らないが、日曜大工よりは半田ごてや
アナログテスタを武装するほうが普通のスタイル。
本棚の製作
参考リンク
作業準備
デジカメを持っていないので作業内容の写真はありません。あしからず。
工具
本棚製作にあたり必要な工具は以下のものであった。
- 電動ドリルドライバとドリルビット、ドライバビット
- 組み立てにおける穴あけとコーススレッドねじのねじ込み。リョービの FDD-1000にした(ケースとビット付の1010KTでもよかろうが近くでは売っていなかったので)。どうせ電動サンダーで充電式のものはないので、ドライバドリルを充電式にするメリットは全くない。やってみるとわかるがねじの打ち込みはパワーが必要で(ねじ込みなのにドリルモード最強設定をすることもあるくらい)、充電式だと大変だったと思われる。
- 本体だけでは何もできないのでドリルビットも狙ったサイズのものを買う。ドライバビットは複数サイズセット(ついでにレンチソケット付)を購入。
- 電動サンダー(オービタルサンダー)
- 最初は買わなかったが、やってみて手作業のやすりがけなんて考えられないと購入。安物だといまどきは2000円程度のものが買える。プロじゃないのでコレで十分。集塵機能はあてにならない(集塵は別途集塵機を取り付けるのが前提で、吸塵サンダーはたぶん高い)が、プロではないので問題ではない。
- 水性刷毛
- 使い捨てと割り切り 200円もしない安物で十分。毛抜けもほとんど起きないし気になることはない。作業日数次第だが一気に作らないのであれば複数本準備(一日一本)するとよいだろう。洗って再利用できれば儲けもの、という感覚で。
- 玄翁 (金づち)
- 裏板の張り付けなどで必要。昔から持っているのを使った。
- 曲尺
- けがきで必要。長いほうが便利だがすでに持っているものを使用。
- 水平器
- クランプ (簡易的な万力)
- 穴あけでバリを出したくないときは裏木を添える際にコレで固定。それ以外は不要。接着時の大掛かりな固定では使い物にならないので。
- コンベックス (巻尺)
- 直接必要ではないが、板の寸法取りのためには設置場所の採寸が必要なので、そのために使う。誤差や作業効率を気にしなければ100円ショップので十分だし、本のサイズなどの採寸は曲尺を使うとよい。
- 安物のはさみ
- サンダーに取り付けるためにサンドペーパーを3つに切る必要があるので、はさみを準備したほうがよい。サンドペーパーが相手では歯がすぐに悪くなるので、家にあるはさみを使ってダメにしてしまうよりも、最初から100円ショップの安物を準備する。切る手間を考えれば大きいものを選んだほうがよい。
- ペンキ用バケツ
- 一度に使うペンキの量は水で薄めても1リットル程度なので、子供の砂遊びで使うような小さいものがよい。100円ショップで買える。
- 新聞紙
- サンダーがけやペンキで塗るときなど、床や地面を汚さないように下に敷く。新聞紙でなくてもビニールシートやゴミ袋などでもよいだろう。
- マスク
- サンダーがけはかなり目と呼吸系にくるので、マスクは必須。私はメガネをかけているので目は特にケアしなかったが、コンタクトの人はかなりやばそうなのでゴーグルなどを考えたほうがいいかも。
- 雑巾とバケツ (あるいは相当品)
- はみ出たボンドのふき取り、サンダー後の削りくずのふき取りで使用。
材料
分量は本棚2~3個分(微妙な書き方なのはサイズが不揃いのため)。
- 板
- 本棚の構成要素でもちろん一番重要となるもの。後述。
- 木工用ボンド
- 木工パテ
- コーススレッドねじ (木ねじ)
- 細身ではない鉄製のを箱買い。4.8×90mmを買ったがサイズはもう少し小さくてもよいところだったとは思う。他に用途もなく、余らせてもしょうがないので、大きめだが本数があまり過ぎない程度のものという選択。498円。
- 釘
- 裏板を取り付ける際に使うので箱買いするほどには多くは必要ない。適当なところで32mm長。大き目のパック(200円くらい)で購入したが余りまくった。小さめのパックでよかった。まぁ、極太の木ネジに比べれば、今後用途はあるだろう…。
- 水性ペンキ
- サイズによって揃っている色の種類が違うので、買い足しの可能性を考えて色を選んだほうがよいかもしれない。本棚1本なら500ml、くらい。およそペンキの缶に書いてある塗装可能面積で計算は合うので、作る本棚のサイズに応じて選べばよいだろう。
- サンドペーパー
- 紙製の安いもの(一枚40円程度)で十分。ただし枚数は必要。粗磨きで#120、塗装後の毛羽立ち抑えなどに #240 を使用した。そんなにこだわらないので、リンク先にある#1200の水磨ぎペーパーは買ったものの使わなかった。塗装のできばえを見てから考えてもよいと思う。
板
収納するものが何なのか、また、収納量はどれくらいなのかによって
選ぶべき板の種類やサイズは変わる。
また、通販で買うのでなければ、
厳密に考えすぎても近くのホームセンターで狙いの板が売っていない
(あるいは数量不足)ことは十分にあるので、
材料の下見をしておくのを薦める。
選択の際のポイントを記す。
- 板の厚さ
- 収納対象が重いほど、棚の横幅が長いほど、厚いものを選択する。ただ、棚の幅を極端に広げるくらいなら本棚を2個作るほうが、耐荷重は安心だろう。木取りの効率もあるので幅は最大でも 90cm に抑えるくらいがよいのではないか(シハチの合板が簡単に手に入るなら 120cm に挑戦するのは自己責任でどうぞ)。
- 具体的にどれくらいの厚さがあれば大丈夫なのかは、まだ作ったばかりで実績がないので不明。文庫本や新書、専門誌など紙の密度の高い紙が使われた本では相当重くなるので厚くすべき。リンク先を見ると最低21mm、できれば 24mm のようだ。特に専門誌は高さもあって板にかかる荷重はかなり厳しいはず。ただし私は都合により 18mm を選択した(たわんだらそのときに支えを考える)。最も荷重のかかるところは上下別になるようにして2枚の厚み(上の棚の最下段と下の棚の天井)で耐えるようにしてある。
- CD やコミックス、漫画雑誌などはおおざっぱには文庫本の半分の密度しかないので、スカスカの化粧版を選ぶのでない限り、板の厚みを気にする必要はほとんどない(長すぎてたわむ可能性はあるけれど)。ただし、本棚の下のほうは人が荷重をかけるケースがありえるので(特にお子様がいる家庭では注意)、環境とセットで考える。
- 薄すぎると、木ねじを打ち込んだら斜めに入って横にそれてコンニチワ、と醜態をさらすことになるので、腕に自信がなければ (ねじ4.8mm x 90mmの場合)最低15mmはあったほうがよい(13mm の板を使って苦労したので)。計算すると分かるが、「斜め」といってもたかだか2~3度程度傾いただけではみ出る可能性がある。
- 板の種類
- リンク先で薦められている「シナ合板(シナランバーコア)」なら最も費用対効果で無難。同類の合板であっても、ラワン合板は見た目に耐える仕上げは素人には不可能。
- 集成材や無垢材は高いし、塗装すればこれらの板とシナ合板との差はほとんどなくなる。強度は同じ厚さならシナ合板よりも集成材のほうがやや上なんだろうか。木口(切断面)はしっかり塗装するか木口テープを張るかしないと美しさに問題があるので、塗装せずにニス塗りにするなら集成材になるだろうか。
- ファルカタ材は安いのだが、塗装するのであればあまりおススメできない。塗装すると毛羽立ちが相当激しい(やすりがけと重ね塗りで抑えられたが)。素の板であれば見たとおりのきれいな板なので(タンスの引き出しに使われるんだそうで)よいかもしれないが、少なくとも近くのホームセンターでは 13mm厚と薄く、前述のとおりネジ打ちのときにも苦労する。財布と労力とのトレードオフか。
- 裏板
- 収納せずに表に見えてしまう部分を全く気にしないのであれば、ベニヤ板で十分。
- 塗装が面倒であればプリント合板という選択がある。わたしの場合、設置場所が決まってなくて、本棚の裏側が見える場所におかれる可能性があったので、プリント合板にした。プリント合板は片面だけプリントされているので、反対側はペンキの余りで適当に塗装した。
作業詳細
- 設計(検討から図面起こし) -- じっくり時間をかける
- ホームセンターへ材料買出しと板の切断 -- 下見も含めて2回か3回くらい
- けがきと穴あけ -- 1日
- 組み立て(接着とネジ止め) -- 1日
- 目止め(パテ) -- 平日のうちに数回
- やすりがけと塗装(重ね塗り) -- 気が済むまで(2~3日?)
- 裏板の貼り付け -- 1~2時間
日曜大工なので週末の休日のみを使うとすると、設計と塗装はそれぞれ2~3週間くらいの覚悟が必要(特に塗装は天気の兼ね合いがあるので休日だから進むとは限らない)。パテは平日帰宅後にでもこまめにやる。穴あけ~ねじ留めは体力を使う(姿勢が悪い状態での作業にもなるため)ので若さに自信がなければ合計二日は見たほうがよい。とくに腰がやばい人は注意。若さに任せれば半日仕事。
設計
設計ミスは全てを台無しにすることになるので特に慎重に。
- 設置場所の採寸
- 作ってから置けないことが分かるのは悲しすぎるので、単純な採寸だけでなく、カーテンレールなどの邪魔者にも注意する。大きい本棚を作るときは、部屋に持ち込めるかどうかも検討が必要かも(サブロクで作る限りは大丈夫だろうが)。
- 収納物の採寸、(必要なら重量測定)、収納量の確定
- 文庫本やCD、DVD などはサイズがほとんど決まっているが、変型判の雑誌などは採寸することになる。取り出しのしやすさと、自分の作業精度を考慮して、高さ方向は1cmくらいはマージンを取るべき。
- 設計:正面図を描く
- 本棚が複雑な形になることはない(そもそも前提として板材は複雑な図形に切り出せない)ので、三面図にする必要はないだろう(側面図などは不要)。正式な書き方でなくても自分が判るように書く。そんな形式的なことよりも、寸法ミスをすると痛いので、計算ミスがないように Excel や OpenOfficeOrg calc などの表計算ソフトを利用するのが良い。
- 同じ板寸法になるところは同じ色になるように色分けをすると、木取り図を描くときに移し忘れたり間違えたりしにくくなる。あとで「板が足りない」という間抜けな失敗もありえるので慎重に。
- 板材はサブロク(約1820mm x 910mm)なので、サイズ決定の時には 60cm、90cm などの効率のよいサイズが多くなるようにする。あるいは端材の用途も考えて余らせる手もある。
- 文庫本収納などの奥行きが小さい棚の場合、壁に固定しないと倒れやすくなるので、側板の形状を工夫(重心を後ろになるようにする)したほうがよいかも。
- 正面図を元に木取り図を描く
- 板の切り出しは、縦または横方向で、線分ではなく直線(つまり端から端まで切られてしまう)カットになるので、どういう順番にしても切断しようのないような絵にならないようにする。
- 端材が出るなら端材の利用シーンも考えて木取りをする。端材は塗装のときに棚を地面から浮かせるために使ったり、ドリルや塗装の試し相手になったりする。
買い出し
- 下見をしてみると、例えばSPF材を使ってみようとかアイデアが出たりするので、ぜひ。
- 板材の切り出しは、本当は木材店のプロに切断してもらうのがベストなのだろうが、ホームセンターで切ってもらった。店によって、店員によって当たり外れがあるが、おおむね 1mm 以内の誤差には収まる。これで良しと思うかどうかは手間との天秤で。他の客が切ってもらった結果を見られると参考になるだろう。本棚の分の板材の切り出しだと、混雑状況などにもよるが30分くらいはかかるので、切ってもらっている間に他のものを買うとよい。
- ホームセンターで買うと、運搬のために軽トラックを貸してくれる。側板などは1820mm の長さで自家用車にはなかなか積めないから、この手のサービスを受けよう(もちろん普通乗用車の免許は必要)。木材を濡らすわけにはいかないので、板材の購入は晴れの日に。
けがきと穴あけ
- けがき線が斜めになるとそのとおりに組み立ててしまい、傾いた棚になってしまうので、絶対寸法はさておいても(1,2mm 程度ずれたところでマージンが有れば問題にはならない)、傾きが起きないようにすることが肝心。「清く…」の方法が大いに参考になる。
- ネジを貫通させるための穴は、ネジの径よりもちょっと大きめにする。私は 4.8mm のネジ径に対して 5.0 mm の穴を開けた。これだとちょっと窮屈な感じではあったが、余り大きな穴にすると、木ネジで締めるときに斜めに刺さりやすくなるのを恐れた。+0.5mm くらいの穴を開ければよいだろう。
- 穴は貫通させるので、電動ドリルはトルクの手加減なくドリルモード。
接着とネジ止め
- 接着とネジ止めは一連の作業になる。ひとりで作業すると、最初の数個のネジ止めまでが、不安定になりやすい状態での作業になるため、相当に慎重かつ大胆に作業する必要がある。
- 木口や側板は面を観察して、見える側にきれいな面がくるように組み立てる(塗装すれば近くで見ない限りわからなくなるが)
- 板の位置あわせはけがき線を信じる。位置合わせの微調整で実効ボンド量が減るので、ボンドは多めに。どうせボンドはあまるのでもったいない精神は不要。ただしネジ止め後にふき取ることを忘れずに。
- 電動ドリルの項で書いたとおり、太く長いネジをねじ込むのでトルクは大きい設定。ドリルモードでよいくらいだ。ネジの頭が板に食い込むまで回す(食い込ませないとパテで隠すことができない)。
- ただし、最初から全部回しこまない。回転トルクで板がずれるので、板のずれを確認しつつねじ込む。
- 運悪く食い込んでくれないときはあきらめるか別の穴を開けてねじ込むか、清く…にあるように爪楊枝などを差し込んでみるか。私はあきらめたクチなのでよく分からない。
- ネジ止めの際、人間の感覚をたよりにすると、自分の体に対して前後方向には傾きやすい(傾きに気づきにくい)が左右方向には余り傾かない(傾きに気づきやすい)ようなので、失敗しにくい(傾いて板からはみ出してコンニチワとならないはずの)向きで作業するとよい。
パテ
- 清く正しい本棚の作り方では、肉痩せするから多めに盛り上げるようにネジ穴につめる、と書いてあるが、実際に多くつめると、その後のやすりがけで死ぬほどつらい思いをする。
- 多すぎると、盛り上がったパテにやすりがけをして削っていっても、そのうちパテ面が「ツルツル」になってやすりが効かなくなり、平面まで削れなくなる。
- パテ埋めの回数が増えても、多くなりすぎないようにしたほうが結果的には楽をできる。作業時間は少ないので平日にでも行える。
- ただし、中に空洞ができることもある。コレはやすりがけした後に露出して判明するので、そうなった場合はまた埋めなおす必要がある。
- シナ合板は中が集成材と同じような構造だけれど詰め込み方が完全じゃないため、木口部分にも空洞が見えることがある。これもパテで埋めておく。
やすりがけ
- 細かい削り粉が出るので、目や口の防御をしたほうがよい。
- パテ削りと木口と面取りは #120 あたりで、その後に全体を #240 でかける。全体をかけるのは余り気合を入れる必要はないと思う(木口の荒れのほうが後々残りやすいので)。
- 一回塗装するごとにやすりをかけなおすが、このときも気合は不要(やりすぎるとせっかくの塗装がはげる)。#240 でやったが、重ね塗りして毛羽立ちが起きなくなるようなら #400 でもよかったかもしれない。
塗装
- 水性ペンキは薄めて使う。およそ2倍~2.5倍に薄めればよい感じ。下塗りは濃い目でよく、重ねぬりするごとに薄くなっていくようにすればよい感じだと思う。木口や側板などの外に見えるところは4、5回くらい重ね塗りし、棚板など収納したらほとんど見えないところは2、3回程度の重ね塗りになるだろうが、自分の気の済む程度に。最初はペンキの量も多く必要だが、重ね塗りのときは最初の半分も消費しないくらいで済むので、最初の塗装後に半分減ったからといってあわててペンキを買い足しに行かなくてもよい。
- 周りをペンキの飛び跳ね汁やしたたり汁で汚すことになるので、塗装は必ず屋外で、地面には敷物を(私はバケツをひっくり返してえらいことになった)。自分の服装も汚してよいものにする。
- できばえを気にする場合は、必ず塗装面が平面になるようにし、塗装後はおおむね乾くまで動かさない。立てたまま塗装するとペンキがしたたってきて、あとがついたりしてしまうので。全面塗装1ラウンドに上下左右と木口の合計5回の待ちが入ることになり、時間がかかるので、時間配分に気をつけよう。できばえをそんなに気にしないのなら手を抜いて立てたまま塗装してもよいが、逆さにするときは、それまでのが乾いてからにする。(私は手を抜いた)
- 1ラウンド終了して重ね塗りをする場合は毛羽立ちを抑えるためにやすりがけ(#240)する。毛羽立ってなくても軽くかけておいたほうがよいだろう(もっと目の細かいやすりをかけるとよいのかも)。
- 一日の塗装終了後は乾いてから家の中に持ち込むことになるので、最後の乾燥時間も見込んで作業する。
- 最後に余ったペンキで裏板の塗装をすればよいだろう(ペンキが余ることが確定していれば、棚本体の乾燥時間の合間に塗装していてもよい)。ペンキが余らないようなら裏板は壁紙の類を貼ってもよいのではないか。ただし、木口の部分は必ず塗装すること。これを忘れると、完成時に横から見ると悲しくなる。
裏板の貼り付け
- 裏板を載せると、棚板部分へ釘を打つ位置が分からなくなるので、ボンドをつける前に目印をつける。
- 打つ場所を間違えたときのことを考え、最初から全部打ち込まずに半分の深さくらいで止めて、打ち間違えてコンニチワ、となっていないことを確認する。
- 間違っていたらくぎ抜きないしペンチで引っこ抜く。裏板が安定しないので多少抜きづらいが。
- 不運にも引っこ抜くのが難しい状況になっていたら、問題の釘のすぐ近くの正しく打ち込める場所に釘を完全に打ちこんで裏板を安定させると、抜きやすくなる。